ハワイの神話には人と交わる半神と呼ばれる神がいます。
半神たちは人と何かを行うことがあり、結婚して子供をつくることもあります。
半神は神と違い、完全な存在でないため、物事が思うように運ばないこともあります。
天の神ワーケアはハワイ島にある標高4000mを超すマウナケアという山から4人の女神を創りました。
最初の女神はポリアフと呼ばれ、雪と氷と寒さを司りました。
そして霜の女神リリノエ、湖の女神ワイアウ、フアラライ山を司るとともにカバ織りの達人でもあるカホウポカーネという3人の妹をあわせ4人の女神です。
この女神達は、夏は太陽の光線で編んだ黄金のカパを、冬は純白の雪で編んだケープを身にまといました。
マウナケア山頂が雪に覆われることから生まれた女神神話です。
ポリアフは落ち着きと賢さを兼ね備えた女神です。
彼女はマウナケアの東側にあるハマクアに住んでいました。
あるとき人間と一緒に遊んでいたところ、マウナロアの噴火を司るペレが現れました。
ペレはポリアフの美貌に嫉妬し、マウナロアから溶岩を流してポリアフを焼き殺そうとします。
しかし、ポリアフは一帯に雪を降らせ、熱い溶岩を冷たい石の塊に変えてしまいました。
ポリアフとペレの戦いはその後も幾度となく繰り返されましたが、ポリアフが敗れることはありませんでした。
マウナケアの雪の女神は、力だけでなく知恵も兼ね備えていたからです。
そしてポリアフはペレに戦いをけしかけられたにも関わらず、ペレを嫌うことはなく、ハワイ島から追い払う事はありませんでした。
この神話は、ハワイ島では活発な火山活動が続き、人々はたびたび被害を被ったものの、常に創意工夫と明日への希望をもってこれを乗り越えてきたことを物語ります。
マウナケアとマウナロアが繋がる峠に立つと、緑地と溶岩が見事に2つの山を分けているのがわかります。
この神話の背景には、鎮静化したマウナケアに対し、マウナロアが活発に溶岩を場がしてきたことを教えてくれます。
18世紀末に英国のジェームズ・クックが来島した頃、ハワイ島のマウナロアやフアラライ山、キラウエア火山などでは、今日とは比較にならないほど大規模な噴火が起きていました。
噴き出した溶岩流は集落を焼き尽くすこともありました。
ポリアフ信仰は、火山を司る火の女神ペレの対極として出現したといえます。
マウナイアの標高4000m付近にワイアウという湖があります。
この湖は4大神の1人で、生命と水の神であるカーネが、マウナケアの山頂付近にある丘から創造したとされます。
4人の女神は、この湖の水を飲んでさまざまな力を発揮しました。
この湖の守護神であるワイアウは、湖の水を飲むと鳥に姿を変えることができたとされます。
ハワイの人々は、天から落ちた水は地上に落ちるまでは浄いと考えていました。
そのため、山より天に近いワイアウ湖の水は特別でした。
人々は死んだ人間の骨をこの湖に投げ込んだり、母親が生まれた赤ん坊のへその緒を投げ入れて健康を祈りました。
骨やへその緒は、人間界と天界とを繋ぐ重要な役割をすると信じられていたためです。
この湖の傍らにはポリアフの丘があります。
ハワイの伝統信仰では、天に近い場所ほど紙の力に満ちていると考えます。
マウナケア山頂はもっとも天に近い場所として特に大切にされました。
頂では常に強風が吹き荒れ、
冬には行きが積もる過酷な場所ですが、いまも簡素ながら祭壇が設けられています。

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